Written by Kyouji Shimizu

昨今、インターネットの発達により強いデッキを作る事が容易になってきている。
そんな最中、その様な手段を用いないで独自の理論で構築をするプレイヤー。彼らは通称デッキビルダーと呼ばれている。
彼らの独創的なカード選択はトーナメントシーンに影響を与える事も少なくない。

そう、デッキビルダーは群馬にも多く存在する。

対戦テーブルを見ると、デッキビルダー同士の対決が行われていたのでフィーチャーさせて頂く事にした。

GAME 1

ダイスロールにて、先手を得たのは、一撃必殺のコンボを幾つも抱擁するハイテクデッキを操る佐久間。
一方、青緑進化デッキを操る合田。マナトラブルにより、痛恨のダブルマリガンに見舞われてしまう。

まずは現れたのは《ザーメクのギルド魔道士/Zameck Guildmage(GTC)》
スタンダード構築ではあまり活躍の場を見ないこのカード。

合田の采配を受けて、如何なるシミッ…じゃない。ギミックを見せてくれるのだろうか?

続いて、《ウルフィーの報復者/Wolfir Avenger(AVR)》と、マリガンとは思えない円滑な動きを見せる。


一方、佐久間は《彩色の灯籠/Chromatic Lantern(RTR)》と、土地を伸ばすだけ。

コンボデッキと言うだけに、これといったアクションがないままターンが返ってくる事が、合田にとって一番の不安材料だ。
さしづめ、嵐の前の静けさと言ったところか。

不安を消し去るかのように、合田。
果敢に、クリーチャーをレッドゾーンに押し込もうとするも、佐久間の度重なる《戦慄の感覚/Feeling of Dread(ISD)》によって、阻まれてしまう。

そして、ついに動く佐久間。
《スフィンクスの啓示/Sphinx’s Revelation(RTR)》から、《希望の天使アヴァシン/Avacyn, Angel of Hope(AVR)》のビッグアクション。

それに対して、合田。
これ以上の希望を与えまいと、《食百足/Vorapede(DKA)》を戦場に追加し、数で押し切る打算だ。

それを見て、佐久間。
《至高の評決/Supreme Verdict(RTR)》を放つと、見事その打算ごと吹き飛ばしてしまった。
そして現れた、《スレイベンの破滅預言者/Thraben Doomsayer(DKA)》 によって、合田に破滅の予言がなされると、抗うすべのない彼は投了するしかなかったのだ。

佐久間1-0合田

GAME 2

お互いマリガンから始まるこのゲーム。

先手の合田、《円環の賢者/Gyre Sage(GTC)》の2連続。
《絡み根の霊/Strangleroot Geist(DKA)》が追加されると次々進化。

マジックの根幹とも言える、マナ。そして、クロックの両方を併せ持つクリーチャーの出来上がりだ。
賢者が万能なのは、どのゲームでも共通なのだ。

一方、受ける佐久間。
《彩色の灯籠/Chromatic Lantern(RTR)》から《スレイベンの破滅預言者/Thraben Doomsayer(DKA)》でこれを受ける。
度重なる進化に時間がないと見るや、 《至高の評決/Supreme Verdict(RTR)》で、盤面を破滅させる。

それに合わせて合田。
相手のエンドに《ウルフィーの報復者/Wolfir Avenger(AVR)》
さらには《練達の生術師/Master Biomancer(GTC)》と、攻め手に欠かない。

刻一刻とライフが削られ、時間のない佐久間。
少しでも時間を稼ごうと《金粉の水蓮/Gilded Lotus(M13)》からの《霧の海の船長/Captain of the Mists(AVR)》

Captain of the Mists / 霧の海の船長 (2)(青)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
他の人間(Human)があなたのコントロール下で戦場に出るたび、霧の海の船長をアンタップする。
(1)(青),(T):パーマネント1つを対象とする。あなたはそれをタップまたはアンタップしてもよい。
2/3


またしても、トーナメントシーンでは見慣れないこのカード。
すぐには出てこないテキスト。
周りにいたギャラリーも、ドヨメキを隠せない。
いや、笑い出す者いた。


そんな最中、真剣な表情になる人間がいた。
デッキビルダーたる合田、ただその一人だけ。
さっきまでの穏やかな表情は一変し、《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter(M13)》からビーストを生み出し、《怨恨/Rancor(M13)》でクロックアップを図り、すべてのクリーチャーをレッドゾーンに押し込む。
《霧の海の船長》がブロックに参加しないのを見ると、深い溜め息。


それほどの事なのだろうか?
ボードは合田の圧倒的に有利。いや、次の攻撃で勝ちが決まる。
例え、全体除去を受けたとしても、持ち返せる盤石な盤面にしか見えない。

なのに、この表情は何処から来るものなのだろうか?


返す佐久間によってすべての答えが出された。

プレイされた、そのカード《幻術師の篭手/Illusionist’s Bracers(GTC)》

Illusionist’s Bracers / 幻術師の篭手 (2)
アーティファクト — 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーの能力が1つ起動されるたび、それがマナ能力でない場合、その能力をコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。
装備(3)


まずは《霧の海の船長》に装備。

次に、《金粉の水蓮》からマナを出し能力を起動。
対象は、《霧の海の船長》自身をアンタップ。
そして、コピーされた能力の対象は《金粉の水蓮》をアンタップ。

このプロセスを繰り返す事により、好きな色マナを好きなだけ生み出せる。

そう佐久間は説明すると、次にプレイされたカードは《竜英傑、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Dracogenius(RTR)》

では、《竜英傑、ニヴ=ミゼット》の能力により、あなたに1点のダメージを与え、カード1枚引きます。
このプロセスをあなたのライフが0になるまで繰り返します。

と、ギャラリーに対しても丁寧に説明してくれた。


それを受けて合田。
「佐久間君、コンボを回すのに緊張し過ぎだよ?私が、診断書を書くから、そのコンボは止めた方が良いよ。」
と、ブラックジョークを飛ばす。

しかし、佐久間の淀みのないコンボ捌きは止まることがなかった。


佐久間2-0合田


見慣れないカードを見るや一瞬で、その危険性に気が付いた合田。

今まで作ってきたデッキの賜物か?
それとも、デッキビルダーたる感性か?

それこそが、群馬が最先端たる理由の一つかもしれない。

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